老害×クロスレビューどうかしてる人たちによるどうかしてるゲームレビューも3回目。紹介してるゲームを遊ぶ予定がある人は、遊んでから読んだほうが彼らの異常さがさらに際立つのでおすすめです。

「いいゲーム」とか「面白かった」はもううんざり!
もっと濃いレビューが読みたい!

先日、久しぶりに再会した古参ゲーマーと話す機会に恵まれた。 まわりに最近老害呼ばわりされているんだと自笑を浮かべた彼は、こちらが聞いてもいないのに最近遊んだ新作ゲームについて、まくしたてるように語り始めた。
早口すぎてところどころ何を言ってるのかわからなかったが、知見に基づくピンポイントすぎる賞賛と、毒をたっぷり含ませた底意地の悪いジョークが、ない交ぜになったそれは、まさに批評と呼ぶにふさわしいものだった。
偏ったボードゲームの批評をもっと聞きたい。そう思い立ち、ウェブを見渡して見ても求めているものがなかなか見つからない。

じゃ、自分で作るかと、老害と呼ばれがちな人達にレビューをお願いして、クロスレビュー風にまとめてみることにした。
上がってきた原稿はどれも個性に溢れており、期待どおりの内容なのだが、みなさん書きたいことが多すぎて、ことごとく文字数がオーバーしてるって!
マニアから奇人まで、クセのある方々のゲームレビューをまとめて掲載する。前記の理由により人によっては長文すぎて読みにくい仕様となっておりますのでご了承を。でも、これこそが私が読みたかったレビューだ!


私が夢みるとき

私が夢みるとき

原題:When I Dream/ デザイナー:Chris Darsaklis / メーカー:日本語版 ホビージャパン、Repos production 発売年:2017年 / 価格 4860円

プレイ人数:4~10人
プレイ時間:30分
対象年齢:8歳~

ギリシャの新人デザイナーが手がけたコミュニケーションゲーム。アイマスクを着けて"夢みる人"となった1人が目隠しをして言葉のみを手掛かりにキーワードを当てていく。それ以外のプレイヤーは、正解、もしくは不正解に誘導するヒントを出していく。簡単ルールで楽しめるパーティーゲーム。


北のかませ犬 鹿

子供のころ誰もが一度は書いたであろう夢日記。先ほどまで見ていた夢の内容を目覚めてすぐに枕元に用意したノートにメモしていくのだが、書いてるそばから内容は忘却のかなたへ。あれ、なんだっけ? という、あの独特の感覚を体験できるのがこの『私が夢みるとき」だ。"夢みるひと"となったプレイヤーはアイマスクをして、"妖精"が出すヒントを元にお題を当てる。ただしみんなが正しいヒントを出すとは限らない。不正解が得点になる"ブギーマン"や、正解と不正解が均衡になることで得点を得る"睡魔"が"妖精"のなかにまじっているからだ。

じつは私はこの手のゲームを自ら進んで遊ぶことは少ない。苦しい資材をやりくりしたり、ワーカーが足りないと嘆くゲームに慣れきった体には、自由度が高すぎるルールではどこか物足りなさを感じてしまうのだ。しかしブギーマンのカードを引いたラウンドは非常に楽しめた。"夢みる人"に気づかれないように、間違った方向に誘導する。"妖精"、"睡魔"との駆け引きがたまらない。

さて、お題は「郵便屋さん」。"妖精"たちが「配達」「手紙」と必死に答えを誘導する中で"ブギーマン"鹿のヒントは「赤い」。そう、「ポスト」と誤解答させるための誘導だ。可哀想な"夢みる人"はまんまと「ポスト」と宣言して私を満足させる。よし、この調子なら勝てるぞ! 私が次の罠を考えているとき、もうひとりのブギーマンH氏が突如「柏もち!!」と言い放った。なぜだ!? お題にもかすりもしないこの暴挙!! "妖精"も"ブギーマン"も睡魔も突拍子もないヒントに大爆笑。ここからは彼が次にどんなピント外れの言葉を言うのかを待つゲームになってしまった。ただひとり目をつぶり、訳のわかっていない夢見る人を残して・・・。

最後に「夢みる人」が自分の回答をつなげて夢を語る。この部分が、冒頭で触れた夢日記を書くときの感覚に非常に似ている。
夢の記憶はすぐに薄れるが現実はまったく逆だ。印象的な出来事はなかなか頭から離れない。店先で柏もちを見るたびに、私はH氏が叫んだあの光景を思い出すだろう。

私が夢みるとき
北のかませ犬 鹿

プロフィール
札幌在住ボードゲーム歴2年目の新人。ポジティブゲーマー。好きなゲームは「ランカスター」「トラヤヌス」「ポンジスキーム」。

レビュアー紹介
ピュアなハートの道産子女子。老害たちを引き立てる〝かませ犬〟として無理を承知でレビューをオファー。で、まさかの快諾。なにかにつけて「いいゲーム」とか「面白い」とか書いちゃう、ありがちなレビューを期待していたのだが、どこかゆがんだ愛の溢れるテキストが届いたので最初の趣旨とは違うけど掲載。ゲーム歴2年目の何でもかんでも遊びたいざかり。

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捏造ボードゲーム考古学者 沢田大樹

当欄において、わたくしには商業ゲーム史的観点からの評価を行う役割が振られている訳ですが、そんなことよりこのゲームについて何かを喋ろうというのであれば、どうしてもバッタ外科医の話に触れざるを得ません。だれかと話題が被ると思いますがこればかりは仕方ない。

この可愛らしい箱絵の描かれた連想ゲームには、百枚だか二百枚用意されたカードのそれぞれにお題が書かれているのですが、限られたカード枚数でお題の数を最大化するため、表裏両面、かつ上辺と下辺のそれぞれに別々のお題が記されています。1枚につき4題が書かれ、ゲームするときはカードの片方の辺を隠してどちらかの面を上に向けるので、4題のうちランダムにひとつが現れるんだと。まあ良くあるやつですが、1つの面に2つのお題が書かれるので、その面のイラストをどうしようという課題が発生するわけですね。

イラストなんて必要無いという割り切りもできるでしょうけれども、子供の夢を舞台にしたゲームでイラスト無しは商業的に今ひとつ収まりが悪い。というわけで例として、ここに「バッタ」と「外科医」のお題が記されたカードがございます。さあどうしましょう。常識人であれば、カードの半分のところで線を引いて上半分にバッタ、下半分に外科医、と別々のイラストを描くという回答になるかと思います。

それで何の問題もなかったはずなんですが、ここで何故か制作陣の誰かが「混ぜよう」とどうかしているアイデアを提出し、しかも何故か誰にも制止されることもなくそのまま採用され(※)、さらに発注先である20人のイラストレーターのうち約半数がどうかしている人々だったため(同席したプレイヤーの一人は更に直接的な「吸っていた」という表現を用いました)、現出した絵は「患者の背中を切り開いてバッタを詰め込み切り口を紐で縫おうとする医師」。はいホイッスル! PG! 一発PG-12です! これまだボードゲームのイラストだからPG-12とジャッジしましたけどね、これコンピューターゲームみたいに若干のアニメーションなど加わった日にはあなた即R-15&バイオレンスマークですよ。

いや良いんですよ別に、PG-12のゲームをPG-12のパッケージングで売ったり、R-15のゲームをR-15のパッケージングで売ったりする分には全然。でも繰り返しますが、子供が寝付いたベッドから愉快なワンダーの数々が飛び出した、そういう箱絵で売ってるゲームなんですよこれは。そんなゲームだと思って買って、出てくるのが先のバッタ外科医か、そうでなければ女性のネックレスが金属じゃなくて密集した蟻でできてる、お前それ禁断症状の描写だろうが! 人によってはこういうやり口を痛快と言うかもしれませんが、これはやっぱり詐欺の一種なんじゃないですかねえ。

追伸。一応ゲーム内容にも触れておきます。回答者、正解させたいヒント者、誤答させたいヒント者に分かれた連想ゲームで(NHK「連想ゲーム」を全員知っている前提で話を進めるところが老害感あって良いですね)、その点においては何も特筆すべきことは無いんですが、何故かこのゲームではラウンド終わりに、回答者が「これまで自分が言ってきた回答を全部憶えておいて、それをキーワードに使って夢のストーリーを語る」という不思議パートが、ものすごく無理矢理な形で接続されます。

得点に絡むのはキーワードを出したか否かだけなのでストーリーがどうこうというのは勝敗上はどうでもよく、これはコミュニケーションゲームとストーリーテリングゲームを何とかしてくっつけたいという、過去にも時折見かけられた欲望ではあります。人類はこの欲望の取り扱いに関する正解を未だ見つけられていないのである程度仕方ないところではあるのですが、それにしたっていくらなんでもこのゲームの接続方法は乱暴です。

それまで連想ゲームを遊んでいたと思っていたプレイヤーが突然記憶の海に突き落とされてうわごとのようにうわごとを語らされるのですから。悪夢のできそこないのようなイラストと共に、「えっと……何? 何の何?」という困惑が場を支配するのは否めないでしょう。

※正確を期して言えば、本文中の「バッタ外科医」の絵をよく見ると、背中を切り開かれているのは人間ではなく肌色の服を着た等身大の人形だと解釈できる体になっています。REPOSの中に誰か良識ある人がいて最低限の歯止めをかけたのかもしれません。全然足りてないですその歯止め。

私が夢みるとき
捏造ボードゲーム考古学者 沢田大樹

プロフィール
我ら99%、ただし残り1%の手先。共謀罪絡みの報道を聞きながら、どっか手頃な国の永住権が半額セールになってたりしないかな、と通販サイトを漁っております。
ここ1-2年では「ポンジスキーム」(2015)と「四人の容疑者」(2016)の印象が強く残ってます。もちろん「フードチェーンマグネイト」(2015)も好きですが、たぶん他の人のラヴ具合に追いつけてません。
近況:『パラノイア【ハイプログラマーズ】』が印刷工程まで進み、ようやく締切の多重債務に多少の整理が入り始めました。

レビュアー紹介
「ゴーストップ」「スクエアオンセール」などのデザイナーでもあり、ニューゲームズオーダーの中の人として様々なゲームの日本語版制作を手がける。「重要タイトルで振り返る捏造ドイツボードゲーム20年史」はゲーマー必読の書。ドイツゲームに関する講演なども行っている。最近、東京ドイツゲーム賞で、「六次化農村」に独断で賞を与えて商品化したことでも話題に。日本ボードゲーム界の良心。

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高円寺のインコ/アーケイン子

あわよくば妖精にたとえられたいだとか、妖精のように可憐でありたいだとか願ったのは何十年前だろう。 
羽の代わりに朱色のランドセルを背負っていた頃の私は、嘘のつき方も知らなかったと思う。
今では「昨夜もゲームのやりすぎで寝ていなくて」なんて話の半分は、妖精になることも叶わず、睡魔に抗う手段も失った上『ディアブロ3』離れに陥っている現状をごまかすための嘘だ。

『わたしが夢見るとき』は1人が"夢見る人"となり、他のプレイヤーはランダムに"妖精""睡魔""ブギーマン"という役割になって遊ぶパーティーゲームだ。
残念なことに『ディアブロ3』にパーティ感はない。
シーズン12序盤でやる気を失った私は『アサシンクリード オリジンズ』にシフトした。
ファラオの守護戦士であるメジャイとなった私は、一人でプトレマイオス朝エジプトを駆け巡っている。

ある時は馬で街中を走り、ある時はラクダに乗り砂煙を立て、時には敵を暗殺し、水中でワニに襲われたりカバに立ち向かってみたりしながら、一人自由に走り回っている。
ピラミッド に登り景色を眺めることも、古代エジプト中を探検できることももちろん楽しいのだが、私が興奮した要素として"胸毛"の存在がある。

小学2年生の頃に、外国人が胸毛で石鹸を泡だて身体中を洗いザーッとシャワーで流すという映像を見た。
残念ながら作品名を覚えていないのだが、子供ながらその合理的なシャワータイムに憧れ、大人になったら自分もやってみたいと強く思った。
成長するにつれ、女性には豊かな胸毛が生えないという現実を知り、「胸毛で石鹸を泡立て全身を洗う」という夢は、永遠の夢で終わった(今は効果的な育毛剤や、発毛技術もあるので可能かもしれないが、現在の私には羞恥心があるので残念ながら行動には移さないと思う)。

『アサシンクリード オリジンズ』では、幼い頃に憧れた理想の胸毛を蓄えたNPCが登場する。
ネットで画像検索をしても、なかなか理想的な画像がヒットせずモヤモヤしながら生きてきたのだが、アサシンクリードの中では簡単に目にすることが出来る。
もちろん男性の胸元の描写も単一ではなく、様々なパターンが存在しその中の一つが私の子供の頃の憧れそのものなのだ。

オープンワールドの古代エジプトを楽しみながら、昔夢見た胸毛の記憶がよみがえる。
こんな素敵なことは中々起こりえないのではないだろうか(誤解のないように書いておくが、胸毛に関して性的な感情は一切無い。胸毛はあくまで私の身体的特徴として得たかったものであり、異性の胸毛に対する性的嗜好全くなく、むしろ苦手ですらある)。

『わたしが夢みるとき』では"妖精"は"夢見る人"に対して有効なヒントを与え、"ブギーマン"は反対の行動を取り、"睡魔"はバランサーとして夢見る人の回答の正解率/不正解率をコントロールすることが得点に繋がる。
言葉選びのセンスや、性格によっても与えられるヒントの幅が広く、楽しめた。
だが、もう一度やるならば6〜10人くらいでやってみたいと思う。
4人でプレイして盛り上がりはしたものの、もう一回!という気持ちにはならなかった。
なんとなくぼんやりと楽しかったというのが正直なところだ。

失礼な感想に聞こえなくもないが、なんとなくぼんやりと遊ぶのが最近の私の好みだったりする。

外は寒い。今日も温かい紅茶を入れたら、胸毛をぼんやりと眺めつつ、特に詳しくもない古代エジプトになんとなく想いを馳せるつもりだ。

私が夢みるとき
高円寺のインコ/アーケイン子

プロフィール
会社員時代の部活でボードゲーム始めました。まだまだ初心者です。好きなゲームは「ディアブロ3」「Civlizavion」。マルチプレイなら「7 Days to Die」。最近やって面白かったボードゲームは「フルーツジュース」。

レビュアー紹介
ゲームと現実の区別が曖昧なデジタルゲームやり過ぎ女子。「ディアブロ3」では世界ランキング27位に入ったこともあるつわものゲーマー。満員電車で「ネクロマンサーの友人が~」等、強烈なパワーワードを大声で連呼する姿に衝撃を受け、執筆を依頼。なんでもかんでもデジタルゲームに例えてしまうところを除けば良識人。

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浪速のリア充モンスター/ヨシダ

「最近寝つきが悪くて。翌朝になっても疲労が抜けなくて」
中年ゲーマーならそんなサブタイトルが浮かんできそうな新作「私が夢みるとき」
レム的なものではなく文字通り「夢」をテーマとした連想と記憶のゲームです。
システムとしては大きく二つに分かれます。目隠しをしたプレーヤーにお題となるキーワードから連想する言葉をヒントとして与え回答を引き出す「連想フェイズ」、そしてその答えた複数のお題を紡いでストーリーを語る「記憶フェイズ」です。聞いただけで心が躍りますよね。絶対盛り上がりますよね。ただ実際プレイが始まり大半のプレーヤーが抱くであろう共通の思い、それは「後半の記憶フェイズいる?」ではないでしょうか。

ま、これは黒歴史になるんですけど夢しかみていなかった高校生の頃「通信教育で出来る作詞作曲講座」なるものを受講していました。内容はどんなものかというと「Aメロ-サビ-Bメロ-Aメロ-サビ」等といった曲の構成を学び、自作した歌詞にメロディーを載せ添削してもらいます。で、それらしく体裁を整えるのですが「サビはとても良く出来ています。ただBメロが蛇足ではないでしょうか」的な指導を受ける訳です。反抗的な年頃ですから受け入れがたい思いはあるものの自然と納得感もありました。なぜなら実際Bメロは「無理やり取ってつけているから」です。

この作者もきっとそうだと思うんです。夢をテーマにしてゲームを作ろう。連想クイズっぽいシステムが使える?でもこれだけだとありきたりになってしまうぞ。そうだ、夢って覚めたとき記憶が曖昧だったりするからこれをテーマに落とし込んで大喜利っぽい要素をのっけてみよう。
完全にフラッシュバック案件です。「記憶フェイズは蛇足ではないでしょうか」という添削文字が浮かんできますね。

と、若干ネガティブなことを書き連ねましたが、目を閉じ非現実の世界で言葉を探る前半と曖昧な記憶を繋ぎ合わせ物語を作り出す後半は「夢」というテーマに見事にシンクロしており作者の思いを差し引いても可能性を感じるタイトルではありました。赤ペンゲーマーの皆さんの感想も是非お聞きしたいところです。

私が夢みるとき
浪速のリア充モンスター/ヨシダ

プロフィール
大阪在住。でも心は琵琶湖。独身時代に収集した千枚以上のレコードやCDは結婚資金に消え、貯蓄していた老後の蓄えはボードゲームに姿を変えました。好きなジャンルは拡大再生産と'60,'70年代英国Mods。好きなアーティストはフヴァティルとThe JAM。近頃はトリックテイクに興味津々。

レビュアー紹介
ウッドベースのしらべと共に奴が来る! スーツスタイルでバンド活動とか、美女をはべらせてアウトドアとか、夢のような遊びと平行してゲームをたしなむリア充ゲーマー。ビルボードチャートやブランド牛の焼き加減と、エッセンのスカウトアクションが並列する脳内から発する考察が的を射てるのか否かは、鼻クソを食べながら公民館でゲームばっかやってる我々には判断不可能! でもたぶん間違ってる気がします。ていうか、頼むから間違っててくれ!

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伝統ゲーム伝道師 草場 純

私が夢見るときは、一人の回答者がみんなのヒントを聞いて単語を当てるという、ちょっと連想ゲームを思わすようなゲームだ。面白いのはヒントの出し手に「正直者」と「嘘つき」と「日和見」がいるという、ちょっと正体隠匿系の風味を加えたような、ひねった構成になっている点だ。

夢の記憶は曖昧で矛盾していて断片的だから、それをうまく表現している。システムとしても、なかなかよくできている。私は、時間が二分と限られているので、回答者はどんどん答えた方がいいと思ったのだが、そうではなさそうだ。ヒントは回答者が答えるまで順に何周でも出していくし、対して回答は一発勝負(回答者はその時点では正解したのかしないのか分からない)なので、じっくりヒントを聞いて考えて当てようとした方がゲームとして面白いし、成績もよくなるのではと感じた。とすると2分間という時間は短かすぎるのではなかろうか。そもそもこれは回答にかかる時間だけがカウントされているだけでなく、ヒントの時間も算入される。こうしたゲームにそうしたうるさいことを言うのは相応しくないかも知れないが、ゲームとしての公平性には若干欠けるものがある。

加えて、一般に言葉のゲームは、言語ゲーム特有の難しさがある。例えば「ヒントとして直訳はいけない」とされるが、どういうのが直訳で、どの程度までが許されるのかは明確ではない。ある意味、明確にしようがないとも言えそうだ。もう一つの言語的な問題点は、このゲームが外国のゲームであるという点にある。当然、単語は翻訳である。ローカライズしようにも出題カードには一枚一枚絵が描かれている。実は、その柔らかくて夢と言えば夢世界とも見られるようなディクシット的な絵が魅力なのだが、それを表す単語を翻訳せざるを得ないところが苦しい。文化的背景が違うので、難しい単語から易しい単語までいろいろ混ざってしまって、グレードが一定しない。更にはカテゴリーの問題がある。つまり「自動車」という出題と「トラック」という出題では、恐らく似たような絵が付けられるだろうが、これをヒントで言い分けるのは難しい。
「テリヤ」「シェパード」「ブルドック」と「犬」をどう説明し分けるのか。また「自動車」の出題に対し、「くるま」は正答なのか誤答なのか、いちいち考えていくと、悩んでしまう。

とまあ、困難を並べ立てるようだが、それでも私はなかなかよいゲームと感じた。本当は出題単語を厳選し、絵から起こして日本向けのゲームにするといいのだが、なかなかそれは難しかろう。そこで上記のような言語系のゲームに特有な問題をある程度みんなで共有し、ゆるくパーティーゲームとして楽しむら、なかなかよい出来で、面白くできるのではなかろうか。ただし時間だけは、もう少しゆっくりとった方がいいと私は思います。

私が夢みるとき
伝統ゲーム伝道師 草場 純

プロフィール
今、一番やっているゲームは本双六。これは日本で1500年前から遊ばれているボードゲームで、現代のバックギャモンと微妙に違うところが非常に面白い。現在、棋譜をとりながら研究しています。
次は東八拳で、すごく面白い日本伝統のアクションゲームです。浅草で月に3回、例会があるので、ぜひ一度、訪れてみて下さい。それから球磨拳、箸拳(土佐拳)、讃岐拳、なんこ(薩摩拳)。今、研究中なのが本拳で、これはとても難しい。

レビュアー紹介
ゲーム歴40年を超えるゲーム研究家a.k.a.ゲームリュックおじさん。おもしろゲームを詰めこんだ巨大な四角いリュックを背負ってゲーム会を渡り歩く姿は、達観したような表情も相まって、まさにリアル魍魎の匣! 初期のジャッキー・チェンかよ! と思わずツッコミたくなる「○○拳」だらけのプロフィール欄からもわかるとおり、昔遊びに詳しく伝統ゲーム関連の著書も多数。ゲーム・コミュニティの文化史を語った「日本現代卓上遊戯史紀聞」第2巻がamazon Kindleストアで発売中!