ボードゲーム界のスーパースター達にゲームの話をインタビュー。第1回は現在公開中の映画『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』に出演中の駒木根 隆介さん。役者とボードゲームの深い関係とは?|ボードゲームスーパースター列伝ゲームスーパースター列伝

SRサイタマノラッパーはドミニオン!?

駒木根 隆介さん

――ゲーム歴はけっこう長いんですか?

小学生の頃から家族と将棋をやっていました。家族が好きだったので自分もやり出して。昔はプロ棋士に憧れてたんですよね。

――じゃあ、学生の頃はずっと将棋をやってたんですか?

将棋から入って、高校に行ってからは友達とずっと麻雀してました。プロの資格を取ろうかって思ったりね。

――すぐにプロになろうと思いますね(笑)。

まあ、麻雀は特殊な世界だからそれだけで暮らしていくのは不可能なんで。自分で店を持つ人もいるし、メーカーの人になる人もいるし、僕もそういうことをやったりしながら暮らしていきたいなって。昔からゲームを取り巻く人間模様が好きなんですよ。人が集まって遊ぶから生まれるたぐいのね。たぶんその辺は変わってなくて、だからいまもテレビゲームよりもカードゲームやボードゲームが好きです。

――海外のボードゲームをやりはじめたのはいつ頃ですか?

ガッツリはまったのは3年くらい前ですね。最初、知り合いに教えてもらって。演劇関係って結構好きな人が多いんですよ。

ラップにちなんでなんとなく即興っぽいゲームをやってみることに。まずはワンス・アポン・ア・タイム。後半は案の定、わけわかんない話に。
ラップにちなんでなんとなく即興っぽいゲームをやってみることに。まずはワンス・アポン・ア・タイム。後半は案の定、わけわかんない話に。

――どんなゲームで遊んでるんですか?

カードゲームが多いですね。シンプルなのが好きで。最近は『髑髏と薔薇』。あと『ハゲタカのえじき』とか『ゲシェンク』、『藪の中』も好きですよ。共通してるのは、おもしろくウソをつくってところですね。
元々『ブラフ』が好きだったんですけど、箱がでかいから持ち運びにくいっていうのがあって。『髑髏と薔薇』は『ブラフ』が洗練されたようなシステムで、しかも箱が小さいのがいいんですよね。あと最近だと『コロッサルアリーナ』がおもしろかった。どっかで協力、別のどっかでは敵対っていうね。

――結構、遊んでますね。

でも案外ずっとやっちゃうのは『髑髏と薔薇』や『ハゲタカ』だったりするんですよね。一晩中やるとおもしろいんですよ。ずっとやってると世界ができてくるじゃないですか。そのメンバーだけの世界が。15の手札をどこで使ってくるか、最初はわかんないけど、だんだんその基準ができはじめて。今度はその基準に対して、じゃあどういうふうにしていくってかっていう考えが出てくる。すっごい長い時間やってると、10の得点札に対して、誰も8以上の手札を出さなくなったりする世界ができあがったりする。それが面白いんですよね。もう一回!って続けるのが。

――かなりじっくり遊ぶタイプなんですね。どこで遊ぶことが多いんですか?

カードゲームはいくつか行きつけの飲み屋に置いてもらってます。あと稽古場でもやりますね。舞台や映画を作るのってコミュニケーションが重要なんで、顔合わせのときに、初対面の人が多いとよくゲームを遊ぶんです。

――そういうときって、どんなゲームをやるんですか?

『人狼』と『スパイゲーム』はわかりやすいからよくやりますね。あと普通に子供の外遊びっぽいこともしますよ。鬼ごっことか、名前オニとか。もちろん普通に『ニムト』をやったりすることもあるけど。

続いて未確認生物テレビ。写真は駒木根さんのイラスト。これはひどい!
続いて未確認生物テレビ。写真は駒木根さんのイラスト。これはひどい!

――そういえば役者さんってゲームの話をすると、大概『人狼』はやったことあるって言うんですよね。

たとえばいっせいのせで初めましてってときにとっかかりとして、なにかゲームをするのは非常に有益だったりする。特に人狼がいいのは、やるとすぐにその場だけの特殊なコミュニティができるじゃないですか。
俺ら3人は味方だねって思ってたら、次の日には、あれ、おまえら味方じゃなかったの?ってなったり。移り変わっていくというんですか。俺のことを信じろよ、いや信じられないっていうね。そういう部分が演劇っぽい。

――手っ取り早く疑似的な人間関係を作れますもんね。

『人狼』と『スパイゲーム』はそこが魅力で。世界をすぐに作れるのがゲームのいいところですね。ゲームを介すると疑似的なコミュニティがすぐできる。僕らのような数ヶ月かけてお芝居や映画をはじめるときにじゃあどういうふうにひとつのものを作っていくのかっていうことの疑似体験ができるんです。だから僕は、何かゲームをやろうかとなったときは『究極の人狼』を持って行くようにしています。役職が多いからゲームを知らない人でも、ずらっと並べたところからまず面白いじゃないですか。

駒木根 隆介さん

――今まで俳優の方が人狼やってるって聞くたびに、役になりきって、お芝居っぽく演じてるのを想像して、正直、ちょっとヤダなって思ってたんですけど、違うんですね。

いやいや、まさか(笑)。そんな人いませんって。普通の人が遊んでるのといっしょですよ。ただ基本的に役者さん同士でやると、どっちかの選択肢を迫られたときにこっちのほうがおもしろそうだなって理由で選ぶ人が多い。だからあんまり平凡なゲームにならないっていうか。あとウソをつくのがうまい人も多いですね。というか、顔に出ない人が多いのかも。女性はさらに上手ですね。いつも人狼すると、女優さんは怖いなって思う。何度だまされたことか。

――結構、どこの稽古場でもやってるんですか?

はじめての舞台だと多いですね。でもアップも兼ねてゲームをするっていう現場と、むしろそういうことはしなくても自然と成立する現場もあって。あんま論理的に説明できないですけど、たとえば『SRサイタマノラッパー』(以降『SR』)の現場はしなくてもいい現場ですね。

――あ、なんかわかる気がします。『SR』の登場人物、IKKUもそうですがSHO-GUNGのメンバーはゲームをやるようなタイプじゃないですよね。

IKKUはやらないんじゃないかな。たぶん知らない人とワイワイするタイプじゃないと思うんですよね。特に1作目の頃のキャラクターはそうですよね。2作目からはいろいろあって、割と開けっぴろげな感じにドライブしていくんですけど。

――SHO-GUNGはいつも倉庫とかファミレスでウダウダしてて、ゲームやるのにはもってこいの環境にいるんですけどね。ちなみにSHO-GUNGメンバーに薦めるとしたら、これっていうゲームはありますか?

そうだなー。彼らはカタンなんかの交渉系はヘタそうだし、奪い合うゲームだとすぐケンカしそうだし・・・。結果、メンバーがバラバラになっちゃうんですけど、みんなで協力型の『パンデミック』とかやってたら違ったのかも。そうすればもうちょっと団結力が生まれて、あと何曲か曲が作れたのかもしれませんね。

――じゃあ最後にボードゲーマーにわかりやすく『SR』シリーズの魅力を伝えてください。

ボードゲームに似てる部分は・・・、ないよなあー。あるかなあー。どうすかね?  でも『SR』は1作目の原型があって、そこからベースはそのままで派生した形で2作目があって、そして今回の最新作へと世界観が広がっていくっていうのは、ちょっとボードゲームの拡張に近いかもしれないですね。『ドミニオン』っぽいというか。ははは。やっぱり無理があるな(笑)。

駒木根さん演じるIKKUも大活躍の最新作『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』は全国でまだまだ公開中!  『ドミニオン』級の興奮をぜひ映画館で!