フランスから「イケメンすぎるゲームデザイナーことアントワーヌ・ボザが来日! フランスデザイナー界最強の色男が独自の視点でゲーム界について語る!ボードゲームスーパースター列伝

『TAKENOKO』は日本で生まれた

――日本に来たのははじめてなんですか?

ボザ 何度か来てるよ。はじめて来たのは2004年だったかな。そのときに上野動物園に行ったんだ。入り口のゲートを入ったところにパンダの像があるだろ。あそこで妻が記念写真を撮ってくれたんだ。帰ってその写真を見ていて、あるゲームのアイデアをひらめいた。それが『TAKENOKO』だよ。上野動物園のパンダ像って、大きいパンダと小さいパンダがいるだろ。だからあのゲームにも2種類のパンダが登場するんだ。だから『TAKENOKO』のはじまりは日本の上野なんだ。

――日本が好きなんですか?

ボザ 僕らの世代は日本のマンガやアニメを見て育ったんだ。フランスは日本マンガの大きな市場だし、親日家も多いよ。日本のテレビゲームもかなり遊んだよ。僕も最初はテレビゲームのデザイナーになりたかったぐらいだからね。

――2013年にドイツゲーム大賞を受賞した『HANABI』も日本がテーマですもんね。

ボザ  『HANABI』は僕がデザインしたなかで特に古いものの1つなんだ。そのゲームを私に作ってほしいという依頼が来たんだ。妻が賛成してくれて、一緒にやってみたいと言ったので2人で作ることにしたんだ。あのゲームの特長といえるカードを反対に向けて持つプレイスタイルを思いついたのは偶然なんだ。そもそも僕が他のゲームをテストプレイしているときに、たまたまカードを反対に持ってしまったんだ。通りかかった妻がそれを見て、面白い、いいアイデアだわ!って言ったことから生まれたんだよね。

アメゲーとドイツゲームの間にフランスゲームはある

――あなたのゲームを筆頭にフランスのゲームは世界的にとても人気がありますよね。あなたの作品を含めてフランスゲームの持つ魅力ってなんでしょう?

ボザ ちょうどアメリカのゲームとドイツゲームとのあいだにフランスゲームがあるんだ。僕を含め、ほとんどのフランスのデザイナーたちはコンポーネントを少なくして遊ぶ時間も短くすることを心掛けてる。自分たちの美学としてね。

――少ないコンポーネントを使って短時間で遊べるものが美しいってこと?

ボザ そうだね。できるだけそうなるように作ってる。でも驚くべきことに日本のデザイナーは僕らのさらに上をいっていたんだ。カナイセイジはたった16枚カードで面白いゲームを作ってしまった。

――日本のゲームをどのように見ていますか?

ボザ ひとつ言えるのはヨーロッパやアメリカのゲームとはぜんぜん違うってこと。個人的にはそこがいちばん興味深いね。それに僕は簡単なルールのファミリーゲームが好きなんだ。ゲームをしたことがない人とも一緒に遊べるからね。そこを日本のミニマムゲームは満たしているといえるよね。

――ちなみにライナー・クニツィア、クラマー、トイバーのドイツゲームの御三家と言われた巨匠たちの作品についてどう思われてますか? あなたがそこをどのように通過してきたのかに興味があるんです。

ボザ 僕はゲームデザイナーとしてのキャリアをスタートさせてすぐの頃にドイツゲームにふれたんだ。ちょうど2000年代のはじめ頃だね。みんなが知ってるように当時ドイツゲームは世界的にちょっとしたブームになっていた。もちろん僕のまわりもみんなが遊んでいたよ。僕も多くの名作と言われるゲームを遊んだし、それはどれも本当に傑作だった。あなたたちが感じたのと同じようにね。だから当時はかなりの時間、ドイツゲームで遊んだよ。でも最近はまったくやらなくなった。

――それはどうして?

ボザ さっきも言ったように僕は美しいゲームが好きなんだ。だから現在のドイツゲームのほとんどのスタイルにはあまり賛成できないし、率先してやりたいとは思えないんだよね。時代は変わっていくし、ドイツゲームもそろそろ変化しなければない時期に近づいてるんだ。

――では最後に、あなたがゲームデザイナーとして心がけていることってなんですか?

ボザ 私はデザイナーだからたくさん売れるゲームのアイデアを生み出せる。でも素晴らしいアイデアを生むことはゲーム制作においてどちらかというと簡単な作業といえるんだ。つまりいいアイデアだけではいいゲームは生まれないってこと。そこからすごいゲームを作るにはみんなの協力が必要だからね。出版社の仕事は私たちデザイナーの仕事を手伝うことだ。彼らと協力しあってこれからもグレイトなゲームを作っていくよ!

美女とのツーショット

終わり