キックアウト・ザ・ゲーム・マザーファッカー緊急座談会

ゲームマーケット2012とはいったい何だったのか。
3700人もの来場者を記録した今回のゲームマーケット。その日、なにがあったのか。国産同人ゲームの人気は今後も続くのか。今年もどうかしちゃってたイカレたゲーム野郎たちが振り返る。
マスク・ド・S.G

マスク・ド・S.G
同人ゲームハンター。同人ゲームが好き過ぎて、少しおかしくなっちゃったこともあったけど、今はもう大丈夫だよ。最近はジップロック詰めの袋系ゲームを夜な夜な開封して中の空気をたっぷり吸引するのが日課に。

ゲーム・カワカミ

ゲーム・カワカミ
フリーライター。三度の飯よりドイツゲームが好き。ちなみに最近のヒットはトムとジェリーカードゲームとキルショット。って、そういやドイツゲー自体あんまやってねえズラ。同人ゲームは、ほとんど興味がない人。

マッド・ドッグ・タメラ

マッド・ドッグ・タメラ
ルール超訳家。同人だろうがドメジャーだろうがカッコイイものはなんてカッコイイんだろう主義者。アートワークにとことんこだわるイラスト乞食。今年のベストはもちろんエピックスペルウォーズでやんす!

ゲームマーケット2012とはいったい何だったのか。#3

前回のお話はこちら

オープン前から惨劇が……。

同人ゲームは福袋みたいなもの。

期待してたゼロハウスの『ヤジルス』も早めに買いに行ったな。
マニュアルに初期手札書いてないっていう痛恨のミスがあったゲームね。
初期手札の枚数が書いてなくて。聞きにいったら、「すいません忘れました。みんなに言われてて・・・、4枚です」って。すでに聞かれすぎてへとへとになっちゃってて、不憫だったよ。
このサイトの別の企画で女性がゲームマーケット行ってるんだけど、その子が『ヤジルス』を気に入ってほしいってなった。
わかりやすいもんね。
それで買いに行って立ち去ろうとしたら、ふいに呼び止められて「あっ、あの、4枚ですから。初期手札!」って。
もうダイイングメッセージみたいになっちゃってる(笑)。
聞かれすぎてて、もうわけわかんなくなっちゃってんでしょ。
だから俺、箱のなかに、なんか訂正みたいなメモが入ってるもんだと思ってたんだよ。それが入ってないって知ったとき、その子が絶句してた(笑)。でも俺はそういうのも含めて、同人ゲームの面白さだと思うんだよね。
たしかにいまのような話は、メーカーだと成立しないよね。
同人だから、こっちも表記のミスなんかに関しては、そんなに目くじら立てないしね。抜けてたらメールを送って問い合わせればいいやってのがあるし。
でも、その子にとっては、なんだこりゃってなるのもわかるね。
コンポーネントがよくなったことで、普通の、一般流通してるゲームと思って買う人が増えると、なんだこりゃって言われる可能性は高くなるよね。
値段もあがってるから、買った人は文句のひとつも言いたくなるだろうし。
ホントは福袋みたいなもんでさ。思ってるものが入ってるなんてことはほとんどないから。
面白いって言っても、遊ぶ前に考えてた面白さと違うところで面白いことが圧倒的に多いってことが伝わってないよね。
良い意味でも悪い意味でも面白がれたらそれでいいかなってくらいの気の持ちようがちょうどいいんだけど。
オインクゲームズの『ストレイシーフ』って、あったでしょ。まさにそこだよね。普通にゲームとしてみたら、俺個人の感想としては、かなり面白くない部類に入るんだけど、あれをちゃんとしたイラストを載っけて販売してるってことが、すでに面白いわけだから。
そんであれをドヤ顔でけちょんけちょんに貶すあんたが面白かったり、貶してるのを見て、「楽しめないのはゲーマーとして修行が足りないよ」とか言ってる、めんどくさいおっさんが面白かったり。
でもゲーマーはみんな、あのゲームを遊んだら、こうしたらよくなるってルールを考えるのね。あれもおもろかったな。
さんざん話したよね。映画でも本でもあそこまで語れるものってなかなかないよ。
2千円も払わないであんだけ楽しめたら充分だよな。もちろん値段によってそのハードルは変わるんだけどね。
俺は3千円を超えちゃうと、実際のゲームじゃない別の意味でおもしろがる余裕がなくなるかも。
300円なら、どんな内容でもさすがに文句言わないけどね。
みんなそんで面白くなくても言えないでしょ。売れなくなったら悪いなって思って。
狭いんだよ。作者がどっかで繋がってて誰かの知り合いだったりするし。
これぞ悪循環。最近、言われないのをいいことに適当に売っちゃえって考えのゲームも増えてきてる気がするんだよね。
あと、単純にゲームにくわしくない人が、はりきって新しいシステム考えました!っていうのも最近よくある気がする。
香ばしいたぐいのやつね。
好事家からするとまさに醍醐味といってもいい部分なんだけどね。
やっぱ本物の変態は言うことが違う(笑)。でもさっきも言ってたけど、それが3,4千円したりするのはちょっとイヤなんでしょ?
イヤかも。毎回1個ぐらいならいいけど、数が増えてくると笑えないよな。
しかもコンポーネントがよくなってきてるから、300円のゲームより、あきらかにおもしろそうに見えるのがマズイよね。
そして買った人は誰も文句を言えない。まあ、遊んだ仲間内ではボロクソに言ってるんだろうけど。
ブログとかやってる人も口をつぐんじゃうっていうね。
まあ、単純に怖いもんね。でも確実に言えるのは面白さと値段は比例しないってこと。
まあ、コンポーネントのできは、違ってくるけど。ゲームって、あたりまえだけどルールが重要だから。数年前までは「ルールが練られてるけど、コンポーネントのせいでもったいないよね」っていうゲームがたくさんあったんだけど、ここ一年くらいはコンポーネントの質がどんどんあがって、あそこもやってるから、こっちもやらなきゃって。
たぶんあれも『ストレイシーフ』あたりからなんだよな。
『ストレイシーフ』ごときが売れるんなら、俺たちもやらなきゃって(笑)。
そう考えると日本ボードゲーム界のある種、エポックメイキング的な作品だよね。『ストレイシーフ』って。つまんないけど。
いやつまんないからこそ、そうなったんだよ(笑)。

つづきます「ゲームマーケット2012とはいったい何だったのか。#4」