ボードゲーム・サソリ 第1回
ぜんぜん知らない女子を連れてゲームマーケット2012に行ってみた 後編#1
前回 前編#5はこちら
4階で最初に目に止まったブースは・・・。
同人ゲームを制作する一般ブースがひしめく4階へ降りる。リコさんはさすがに疲れてきたのか、少し口数が減った気がする。
リコ「5階よりも人がいっぱいですね」
4階は5階よりも、さらに空気が薄い気がする。結構な混みようだが、すでに15時をまわっているため、それでも午前中と比べるとずいぶんと客は減っていた。
『ワンス・アポン・ア・タイム』の日本語化シールなどを出展している笹塚ゲームクラブの前で立ち止まる。
少し離れた場所から、しばらくのあいだ見つめていたが、特にブースの人には声をかけないまま、また歩きだす。
リコ「前、笹塚の近くに住んでたんですよ。だから気になって」
ゲームではなく、地名が気になってたのか・・・。
知らない人と遊んでみる
次に立ち止まったのは初出展のAnd.O。パンフレットの紹介文には「クリエイターの集団」「アート」「リスペクト」などの横文字が並んでいたことから、一部の好事家のあいだで話題となっていた出展者である。
だが実際見た印象は、事前情報から予想されたイメージとは違ってかなりユルい雰囲気。ビーズで作られたコマやコインなど、ハンドメイド系ゲームグッズを中心に販売していた。
リコ「これかわいいですね」
紙コップで作られたカッパが目を引く『かっぱたん』に興味を示す。
ブースの人「かっぱのお皿に水を溢れさせたら負けっていうゲームです」
リコ「表面張力のゲームですね。面白そう。あっ、ここで売ってるゲームをこっちで遊んでるんですね。遊びたいです!」
ブースの人が、なぜかメイドの衣装を着たスタッフらしき女性に声をかけると、その女性がカップルらしき男女が座っているテーブルに誘導してくれる。
リコ「あのメイドさんもあそこのスタッフの人ですよね。似合ってますね。やっぱり女性が、ああいう格好をしたほうが、モンスターが好きな人は喜ぶ人が多いのかなって」
すでに彼女のなかで"モンスターが好きな人"というカテゴリーができあがっていることにショックを受けた。
メイド姿のスタッフが参加者を募り、しばらくすると6人が着席。
スタッフ方が丁寧にルールを説明してくれる。水の入ったコップにストローを差し、ストローの口の部分を親指で押さえて真空にして水を運んで、カッパの皿に水滴を入れていく。一滴でもさらに水が入れば、次の人にストローを渡す。皿から水をこぼした人が負けというとても簡単なルールだ。
ゲームがはじまる。先手はリコさん。数滴、皿に水が入る。
「おおーっ!」
盛り上がる参加者たち。
3分経過。皿の水はすでに満タンでいまにもこぼれそうだが、表面張力で持ちこたえている。
「ああー!」
「うわぁー!」
手番ごとに叫び声があがる。
5分経過。参加者の発する声が人を呼び寄せ、テーブルのまわりにどんどんギャラリーが増えてくる。
今にもこぼれそうだが、意外にこぼれない。表面張力で持ちこたえられなくなった水は、かっぱの髪の部分にこぼれ出ているが、下にはなかなか落ちないのだ。
参加者は慎重にストローから一滴の水を垂らすたび大盛り上がる。いまにもゲームが終わりそうな状態。もって、あと数滴だろう。と、ここでリコさんに手番がまわってきた。
すると、いきなりストローを振って、ボタボタボタっと2、3滴を一気に落とすリコさん。
そのあまりにワイルドなプレイスタイルに、ギャラリーからどよめきが。
それでも水はこぼれない。
ギャラリーのどよめきに誘われてさらに人が集まってくる。
それから4人がクリアして、最後は他の参加者の男性が躊躇しているあいだに水が落ちてゲームセット。トータルで6、7周ほど手番がまわってきたことになる。
リコ「わりと時間がかかりますね。知らない人とあんなゲームしたことなかったんですけど盛り上がりましたね。思ったよりもちょっとピーク過ぎてからが、長かったかも。こんなこぼれないの?っていう。表面張力ってすごいですね」
やはり少し飽きてたようだ。
リコ「でもまた遊びたいですね。値段も500円だし。あれなら持ち運べそうだし」
先ほどから持ち運べることをやけに気にしてるリコさんだが、そのジャッジの基準がいまいちよくわからない。どんなカードゲームより、いきなり鞄から紙コップで作ったカッパが出てきたほうが焦る気がするのだが。
実際に最後まで通してプレイすると違うのか、今まででいちばん好印象。低価格も手伝い、本日はじめての購入になるのか?
リコ「う~ん。でも濡れてすぐにダメになる気がするし、買うのはやめときます!」
耐久性に難があることを理由に却下。